今回は、ロゴデザイナーになるために「Illustratorの習得後にすること」についてお話しいたします。1回目はアイデアを出す訓練についてです。
とにかく、ロゴのアイデアを出す特訓を
ロゴマークのデザインは「Illustrator」が使えるようになったのなら出来ますが、クライアントに選ばれるようなロゴマークをデザインしなくては意味がありません。
価格の安さでロゴを決めてくれるようなクライアントなら、多少の可能性はあるでしょうが、それでもいくつものロゴの中から選ぶわけですので、アイデアのないロゴは選ばれづらいと思います。
例えば「ハートの形の中にAの文字」を入れたロゴを提案して欲しいという依頼
クライアントから「ハートの中に社名の頭文字Aを入れたロゴ」を提案して欲しいという依頼が来たとします。そしてまず考えつくのが下に添付したようなイメージだと思います。
「ハートの中にAといえばこれでしょう!」と思う方は多いと思います。Aの文字の書体を変えたり、ハートの色を変えたり、しかしこれを提案するべきではありません。
誰もが思いつくようなアイデアは必ず類似したロゴが存在します。
まず、間違いなくこのハートとAの単純な組み合わせは世界中にたくさんあります。誰でも思いつくようなアイデアは必ずと言っていい確率で同じデザインのロゴが存在します。もちろん、このようなロゴマークをクライアントが望んでいるとも限りません。
クライアントは自身が考えつかないようなアイデアをロゴデザイナーに求めています。このハートとAの単純な組み合わせを提案したらまず間違いなく選ばれることはないと思います。類似ロゴということで後々問題が起こりかねなくもありません。
ロゴのアイデアの出し方の練習は「頭で考えるより手を動かせ」です
アイデアは「頭で考える、想像するもの」です。ロゴデザイナーがロゴのアイデアを考える場合は、これに手の動作をプラスしてください。「手を使って頭で考える・想像する」ということです。
「どういうこと?」
サムネイルを書き出すということです。
サムネイルとは:小さな落書き、サムネイルは英語で親指の爪。ロゴデザイナーにとってのサムネイルとは、(親指の爪ぐらい)小さいアイデアの落書きを書くということです。
サムネイルを描かずに、直接画面編集する方も中にはいるでしょうが、私はサムネイルを書くことを強くおすすめします。私もロゴマークのアイデアを出すときはかなりの数のサムネイルを書いています。
経験から「ロゴのアイデアはサムネイルから生まれます」
ロゴのサムネイルを描くことの3つのメリット(デメリットはほぼなし)
サムネイルを描くことを何故、オススメするのかというとそれは色々とメリットがあるからです。逆にデメリットはあまりありません。
1)サムネイルを描くことで、ロゴのイメージが残る
ノートなどに、サムネイルをどんどん書いていくわけですからアイデア・イメージは残ります。後で、確認できるということです。頭の中だけでアイデアを考え取捨選択したとき、選択できたアイデアは記憶に残ると思いますが、他のアイデアは忘れ去られてしまいます。
「あっ、あの時思い出したアイデア、どんなのだったかなぁ」などという経験はありませんか?サムネイルにすることにより見直すことができるのは大きなメリットです。
2)手を動かすことで「新しいロゴのアイデア」が生まれる
例えば、ハートの形とAの文字のサムネイルでいくつも書いているとします。頭の中で、ハートの形をこうしてみようと思い、手がその形をなぞるわけですが、頭の中で考えているときは視認できませんが、手で描くことによって形が視認できます。
すると、「もう少しハートを細くしてみようか」「この辺りだけ膨らませてみようか」「ハートの線とAの文字を融合させてみようか」など視認できるために、描くことによってアイデアが膨らみ、新しいアイデアが生まれてきます。
3)サムネイル同士が合わさり、類似しないロゴのアイデアが生まれる
サムネイルを描き続けていると、さっきのサムネイルにこのサムネイルを組み合わせると、もっと良いのではないかということがよくあります。頭の中では、2つないし3つを組み合わせるのは難しいですが、サムネイルにすることで組み合わせるのは容易になります。
そして、組み合わせることでよりオリジナリティが生まれ、よくあるアイデアから1歩も2歩も進んだ自分だけのロゴマークにすることができます。
この他にも、まだまだサムネイルを描くというメリットはあると思います。とにかくロゴデザイナーを目指すのなら「サムネイルを描くという習慣」を身につけるべきだと思います。
ロゴのサムネイルを描くときの注意点
サムネイルを描くときの注意点は「ノートやスケッチブックなどに描くのがいい」と思います。コピー用紙の裏などにサムネイルを描いてしまう場合がありますが、間違って捨ててしまいます。サムネイルは取っておけるものに描くのがいいでしょう。
今回はここまでとなります、最後までお読みいただきありがとうございました。